色に関する資格を取得したいけれど、「色彩検定」「カラーコーディネーター検定」「パーソナルカラー検定」の違いがよくわからない…という方は多いのではないでしょうか？
色彩はファッションや美容、インテリア、デザインなど、さまざまな分野で活用されている知識であり、資格として取得しておくことで日常生活だけでなく、仕事のスキルアップにもつながります。
この記事では、色彩検定（AFT）、カラーコーディネーター検定（東商）、色彩技能パーソナルカラー検定（JPCA）ら3つの代表的な色彩資格の違いをわかりやすく比較し、それぞれの特徴や適した学習目的について詳しく解説していきます。
1. 運営団体の違い
まずは、それぞれの資格を主催・運営している団体を見てみましょう。
| 資格名 | 主催団体 | 後援 |
|---|---|---|
| 色彩検定 | 公益社団法人 色彩検定協会（AFT） | 文部科学省後援 |
| カラーコーディネーター検定 | 東京商工会議所 | なし |
| 色彩技能パーソナルカラー検定 | NPO法人 日本パーソナルカラー協会（JPCA） | なし |
色彩関連の資格は国家資格ではありません。それぞれ民間団体が主催・発行しています。
そのなかで「色彩検定」は文部科学省後援という公的な"お墨付き"を持っていることもあり、色彩資格のなかでもっとも認知度が高いです。カラーコーディネーター検定と色彩技能パーソナルカラー検定は、それぞれの業界団体が主催する、専門性の高い資格となっています。
2. 学習内容の違い
各資格で学べる内容には、目的や対象分野に応じて違いがあります。
- 色彩検定：
- 色の基本原理（色相・明度・彩度）
- 色彩調和や配色理論
- 視覚の仕組みや心理的効果
- ユニバーサルデザインと色彩
- 幅広い色彩の基礎と応用を網羅
- カラーコーディネーター検定：
- 色の物理的・科学的な原理
- 商品・空間・販促における色彩戦略
- ビジネス視点での実践的な色彩知識
- 色彩設計、商品開発、建築、印刷など
- パーソナルカラー検定：
- パーソナルカラー理論（春夏秋冬タイプ）
- 肌・髪・瞳の色に調和する色の見極め
- ファッション・美容での色選び
- 色彩分析とカラー提案のスキル
どの資格を取得するにせよ、色の役割、色相・明度・彩度による色の分類、色彩心理効果などの基礎知識は広く学べます。
そのうえで違いを挙げるとするなら、「色彩検定」は汎用的な色彩の基礎を特に広く学びたい人向け、「カラーコーディネーター検定」は実務や商品企画などビジネスで使いたい人向け、「パーソナルカラー検定」は美容やファッション分野で“似合う色”を診断・提案したい人向けと分けられます。
3. 等級や試験方式の違い
資格ごとに等級（レベル）や試験の形式も異なります。
色彩検定の等級や試験方式
| 項目 | 色彩検定 | カラーコーディネーター検定 | 色彩技能 パーソナルカラー検定 |
|---|---|---|---|
| 等級 | 3級／2級／1級 UC級 | スタンダード アドバンス | モジュール1（初級） モジュール2（中級） モジュール3（上級） |
| 試験形式 | 試験会場で実施 ・3級はマークシート ・2,UC級はマーク+記述 ・1級は１次試験 + 2次試験（実技） | 自宅または会場で実施 IBT方式（自宅でPC受験） CBT方式（会場でPC受験） | 試験会場で実施 ・モジュール1, 2はペーパーテスト ・モジュール3はペーパー + 実技 |
| 実施時期 | 年2回 夏期：6月（3,2,UC級） 冬期：11月（全級） *1級２次試験は12月 | 年2回 夏期：6~7月 冬期：10~11月 | 年2回 夏期：7月 冬期：12月 モジュール3は秋期：10月、春期：3月 |
| 受験条件 | なし （どの級からでも受験可） | なし （両方の併願可） | あり （モジュール2は1の合格者のみ受験可。1と2の併願可能。モジュール3は1,2の合格者のみ受験可） |
各試験の特徴
色彩検定は、3級から1級まですべて試験会場で受験します。試験内容はマークシートと記述式。1級には2次試験があり、色見本を用いたカラーコーディネートの実践もおこないます。UC級は、ユニバーサルカラーに特化した別資格です。どの級からでも受験でき、制限はありません。
カラーコーディネーター検定は、スタンダードとアドバンスの2つのグレードにわかれています。両方のグレードの併願可能で、制限はありません。試験方式は、自宅のパソコンを通して実施するIBT方式と、試験センターに設置しているPCから実施するCBT方式のいずれかを選べます。
色彩技能パーソナルカラー検定は、モジュール1からモジュール3の3段階にわかれています。どの級の試験も、テストセンターで実施するCBT方式です。モジュール1（初級）と2（中級）は併願できます。モジュール3（上級）は、1と2の合格者のみが受験できます。また、モジュール3は肌に色見本をあわせる実技試験もおこないます。
4. どれが一番役立つの？
それぞれの資格には異なるメリットがあり、「どれが一番役立つか」はあなたの目的によって変わります。
たとえば、以下のようにも考えることができます。
- 日常や趣味で色を楽しみたい人 → 色彩検定3級やUC級からスタート
- ビジネスで色彩を活用したい人 → カラーコーディネーター検定（スタンダード〜アドバンス）
- 美容やファッション業界を目指す人 → パーソナルカラー検定 モジュール1〜2
「総合的に色の知識を身につけたい」なら色彩検定、「実践的・戦略的に活用したい」ならカラーコーディネーター、「人に似合う色を提案したい」ならパーソナルカラー検定というように、自分の“なりたい姿”を軸に選ぶのがポイントです。
まとめ：何のために学びたいのかを基準に選ぼう
色彩検定、カラーコーディネーター検定、パーソナルカラー検定は、いずれも色彩の専門知識を深めるうえで非常に有効な資格です。それぞれに特色があり、学習内容や活用分野も少しずつ異なります。
資格選びに迷ったときは、「何のために学びたいのか？」「どんな場面で色を使いたいのか？」を明確にすることで、最適な選択ができるはずです。
色彩全般の知識は色彩検定で十分に学べますから、趣味には最適といえます。商品や製品の素材ごとの色彩設計、ビジネスシーンにおける具体的な色の活用については、カラーコーディネーター検定で学ぶ内容がマッチします。クライアント（人）に似合う色の提案スキルの向上なら、間違いなくパーソナルカラー検定が適しています。
まずは、興味のある分野から気軽にチャレンジしてみてください。色の世界が、きっとあなたの生活や仕事に新しい彩りをもたらしてくれるはずです。